草彅剛が遺品整理人役で主演するドラマ『終幕のロンド－もう二度と、会えないあなたに－』。毎回、遺品に残された故人の家族への想いが紐解かれるストーリーと並行して、余命3ヵ月の女性から依頼された生前整理が続く。

その娘で大企業グループの次期社長の妻を、中村ゆりが演じている。シングルファザーの主人公と互いに惹かれ合っていく役どころだ。

現在43歳。20代の頃から薄幸な役のイメージがあったが、40代になりNetflixの『匿名の恋人たち』と合わせ、大人のドラマで恋愛に絡む役にうってつけの存在としても開花している。

ココがポイント

エキスパートの補足・見解

『終幕のロンド』の草彅剛と中村ゆりの合同取材で、草彅が盛んに「ゆり様がかわいくて！」と口にしていた。そこは率直に視聴者として感じるところでもある。

『マイダイアリー』や『119エマージェンシーコール』では主人公ら若者を見守るポジションだったが、中年視聴者としては中村が映る場面が楽しみになっていた。今回はヒロインで出番が多いのは嬉しい。

などと書くとアイドル視しているようにもなるが、ある意味、大人にとってのそういう存在になり得るのも、中村の得難い魅力だと思う。ショートカットもきれいな顔立ちに映えて。

もちろんキャリアを積み重ねた演技力もあってのこと。演じる真琴は夫と心が通わず、義母には子どもができないことを責められ居場所がない。切なさを漂わす中で主人公の樹と母親のことで話すうち、少しずつ距離を縮めている。

そこに不倫的な匂いは薄く、大人として抑制しながらも心が動くのが染みる。夫に対して自身の意志を貫くように変わり、凛々しさを見せたのも惹きつけられた。

視聴者の嗜好の細分化と共に、それなりの年齢を重ねた大人の恋愛ものも増えていくかもしれない。そうした作品でヒロインを演じられる俳優として、中村はより求められていくだろう。